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「あなたのしたことは・・・・・お分かりですね?」

あの世の使いがそう言った

要はうなずく

妹が止めてくれたとはいえ、自分は既に二桁の命を奪っている

地獄へ行くということで・・・・良いですね?

その言葉にうなずく・・・・後悔はない・・・・

しかし・・・

「姉を連れていくなら・・・・私もついていきます!!!!」

要の後ろで見守っていた妹・・・雛雪が叫んだ

「それは認められません・・・・・彼女は罪人あなたは既に怪異として命を持っています・・・・」

「っ・・・・だったら今すぐ私は町の人を皆殺しにして罪人になってやる!!

これなら満足でしょう!?」

あんまりな言葉にあの世の使いがたじろく

「お・・・・・おまちなさい・・・そんなことをすればあなたは転生もできない地獄の深淵に堕ちることとなりますよ!!?」

「それでもかまわない!

なによ・・・規則規則って・・・皆が死んでから出てきてごちゃごちゃと・・・・姉は私のために色々してくれたのよ?

あなたたちは私が生きてるとき・・・苦しい時何かしてくれた!?

見てただけで何もしてくれなかったじゃない!

神様助けてって何度も祈ったのに・・・・何もしてくれなかったじゃない!?

それなのに・・・・どうして頑張ってくれた姉が罪なの?

ふざけるんじゃないわよ!!?」

「そ・・・・それは・・・・」

あまりの剣幕に涙目になるあの世の使い・・・・

「まあまあ・・・・・このような新人にそれを言うのは酷であろう?雛雪

助け舟を出したのはいつの間にか姿を現していた白い着物姿の少女・・・・」・

不知火・・・見た目は少女だが、その正体は何千年も昔から生きている蛇神・・・

!!!

「し・・・・不知火明神様・・・・」

あの世の使いがその場で地面に頭を付ける

これでも・・・真正の神である

「さて・・・・新人のお主では話にならん・・・・上司を呼べ上司を・・・」

あの世の上司・・・・それはいったい誰なのか・・・・・相当な存在であるには違いないだろう

「は・・・・・はい・・・・・」

使いが慌てて上司を呼び出す

やがて目の前に巨大な男が姿を現す

「・・・・久しぶりだの?」

不知火がそういって彼を見る

「お主こそ・・・・・何の用だ?」

「交渉をしようと思ってな・・・・

この娘を地獄に連れて行くと聞かんのでな」

「・・・・・これだけの命を奪っておるのだ・・・妥当であろう?」

「この娘・・・・わが神社の巫女であるが・・・・・神社の巫女は我の妻・・・・それもわかっておろう?

この娘の処分は我が一任する決まりではあるが?」

「だが・・・・・あまりにも罪が重すぎるぞ・・・・・殺されたものが直訴したのだ・・・」

ふむ・・・・・お主・・・忙しすぎて目が曇ったかの?

この娘が殺したのは・・・・人間かの?」

「どういう意味だ・・・・・?」

不機嫌そうに彼はうなる

人を踏みつけ涙と血をすすり欲望のために娘を食い物にする・・・・

暴力で自由を奪い魂を殺し人の命をもてあそぶ・・・・それは人間とは言わん

悪鬼羅刹というのではないかの?

人の世にはびこり巫女の一人の命を奪った鬼をその身を犠牲に退治したのがこの娘・・・・要じゃ・・・

褒められこそすれ罰せられるいわれはないぞ?」

・・・・・・・・・・・・

「それに・・・・我はそれを承認しておるしの?」

不知火の言葉に彼は黙って聞いていたが・・・・

「分かった・・・・お前がそこまで言うのであれば・・・・今回は目をつぶろう・・・・・

ただ・・・娘よ・・・さすがにお咎めなしとはいかぬぞ?」

そう言われた娘・・・・要はうなづいた

「覚悟はできています‥‥寛大な処遇感謝いたします・・・・・」

「うむ・・・・・ではこの場ではあるが処遇を伝える

お前は悪鬼を懲らしめる代償に己の命を絶つという罪を犯したゆえに・・・・片目と片腕を失う事となろう・・・

それと・・・・・鬼を殺せば鬼となる・・・・その理に従いお前も人ではないものの力を与えよう・・・・」

その言葉通り要の片目と片腕が消滅し・・・・背中からは異形の蠱が生えてくる
っ・・・・・・・
その姿はまさに・・・・鬼・・・・
それでも・・・・要は彼に頭を下げ感謝をしていた
妹と過ごせる時間をありがとうございます・・・・と

使い達がさり・・・・要と雛雪・・・不知火が残された

「今回は何とかなったの・・・・・お礼はたまごやきでいいぞ?」

不知火が悪戯っぽく笑う

「不知火ちゃんて・・・・本当にすごい人だったんだね・・・・」

雛雪は不知火のギャップに感心していた

要は・・・・

「雛・・・・・本当によかった・・・・ごめんね・・・・こんなお姉ちゃんで・・・」

何もできずに何も知らずに・・・・・

泣いていた・・・・

そんな彼女を雛雪は力いっぱい抱きしめる

小さいからだで精いっぱい・・・・

森に・・・・大声で泣く要の声が響く

​周りを憚らずなく姉を・・・・雛雪は何時までも抱きしめていた・・・・

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